活動報告


2017年4月27日(木)に、東海大学校友会館(東京都千代田区)にて、第35回スガウェザリング財団賞表彰と第36回研究助成の贈呈式がありました。本財団賞の科学技術賞に、堀照夫氏(本学産学官連携本部 客員教授)が「染色布帛の各種染色堅ろう度の評価および高堅ろう性染料の開発」について表彰されました。

堀照夫氏は、超臨界二酸化炭素を用いた染色・加工の原理を解明し、世界初の実用機の開発・普及に努めました。また、高堅ろう性分散染料を開発され、本染料と超臨界二酸化炭素を用いることで、染色不可能とされていたポリプロピレンやアラミド繊維も染色可能にする技術を生み出しました。本染色方法は、媒体として水に代わって二酸化炭素を使用することで、染料を無駄にしないことや、廃液を出さないことから、染色工程における環境負荷の大幅な低減を実現します。また、染色の工程を短くすることもでき、生産性も向上するといった特徴があります。

他にも「窒素酸化物に対する染色堅ろう度試験法」の確立についても努めました。自動車の排気ガス等に含まれる二酸化窒素等の窒素酸化物は、生地の染料と反応して、退色させる作用があります。そのため、窒素酸化物に対する染色堅ろう度の評価はとても重要ですが、適切な評価方法は確立されていませんでした。堀照夫氏は、その評価に適した染料を選定し、ISO TC38国際会議SC1 WG3のコンビナーとして提案、2015年にリヨンで開催された同国際会議で採択されました。日本からISO規格に採択されることは極めて少なく、堀照夫氏のこの業績は、貴重な事例です。

堀照夫氏は受賞に際してのご挨拶の中で、「超臨界二酸化炭素を用いた染色は、日本では法規制の問題で、タイ、中国、台湾等に比べて普及しておらず、水資源の確保、環境保護の観点でも普及を進めたい。」「窒素酸化物に対する染色堅ろう度試験法も世界中に広めていきたい。」「今後も新しい提案をし、日本からISO規格に採択される事例を増やしていきたい。」「新興国の追従を超える革新技術の展開を進めることで、日本の繊維産業を活性化させていきたい。」「研究・技術開発だけでなく、人材育成にも努めていきたい」等のお気持ちを述べられていました。



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